MTFチャートの読み方 — レンズ性能を数字で比較する方法

MTFチャートの読み方 — レンズ性能を数字で比較する方法

公開: 2026年4月12日|更新: 2026年4月12日

「MTFチャートってよく見かけるけど、どう読めばいいの?」

レンズのレビューやメーカーのスペック表に登場するMTFチャート。 難しそうに見えますが、ポイントさえ押さえれば意外とシンプルです。

このページでは、MTFチャートの読み方を基礎からわかりやすく解説します。 レンズ選びの強力な味方になりますよ。

MTFチャートとは

レンズ性能の「成績表」

MTFはModulation Transfer Function(変調伝達関数)の略です。 難しい名前ですが、要はレンズがどれだけ忠実に像を再現できるかを グラフで示したものですね。

被写体のコントラスト(明暗差)がレンズを通してどれだけ正確に再現されるかを、 画面中心から周辺にかけて測定します。 値は0から1(または0%〜100%)で表され、1に近いほど高性能です。

完璧なレンズなら全域で1.0になりますが、現実にはそんなレンズは存在しません。 特に画面の周辺部では性能が落ちるのが普通で、 この「中心から周辺への落ち方」がレンズの個性を表します。

縦軸と横軸の見方

コントラストと画面位置

MTFチャートの読み方は、2つの軸を理解するところから始まります。

  • 縦軸: コントラスト再現率(0〜1.0)。高いほど像がシャープでクリア
  • 横軸: 画面中心からの距離(mm)。左端が中心、右端が周辺部

フルサイズセンサーの場合、中心から対角の端までは約21.6mmです。 横軸が0(中心)で高い値を示し、右に行く(周辺に向かう)につれて 値が下がっていくのが一般的なパターンですね。

良いレンズの特徴は以下の通りです。

  • グラフ全体が上のほう(0.8以上)にある → 高コントラスト
  • 中心から周辺への落ち込みが少ない → 均一な描写
  • 縦軸0.6を下回る部分が少ない → 実用上十分な性能

10本線と30本線

コントラストと解像力の違い

MTFチャートには通常、太い線と細い線の2種類が描かれています。

  • 10本/mm(太い線): コントラストの再現力を表す。 白と黒の太い縞模様をどれだけ忠実に再現できるかを示す。 この値が高いレンズは、写真にメリハリがあり「パキッとした」印象になる
  • 30本/mm(細い線): 解像力を表す。 白と黒の細い縞模様をどれだけ分離できるかを示す。 この値が高いレンズは、細かいディテールまで鮮明に描写できる

一般的な目安として、10本/mmの値が0.8以上なら優秀、 30本/mmの値が0.6以上なら高解像と評価されます。

風景写真で遠景の木々の葉まで解像させたいなら30本/mmを重視。 ポートレートでコントラストのある肌表現を求めるなら10本/mmが重要ですね。

サジタルとメリディオナル

2本の線が示すもの

同じ10本/mm(または30本/mm)でも、MTFチャートには2本の線が描かれています。 これがサジタル(S)とメリディオナル(M)です。

  • サジタル(放射方向): 画面中心から放射状に伸びる縞模様の再現力
  • メリディオナル(同心円方向): 画面中心を囲む同心円状の縞模様の再現力

この2本の線が近いほど良いレンズです。 2本の線が離れている場合、ボケが「二線ボケ」と呼ばれるざわついた描写になったり、 点光源が放射状に伸びた形にぼけたりすることがあります。

特にポートレート用レンズを選ぶときは、 サジタルとメリディオナルの差が小さいレンズを選ぶと、 なめらかで美しいボケ味が期待できますよ。

MTFチャートをレンズ選びに活かすコツ

実践的なチェックポイント

MTFチャートでレンズを比較するときの実践的なポイントを紹介します。

  • 同じメーカー同士で比較する: 測定条件がメーカーによって異なるため、 異なるメーカーのMTFチャートを直接比較するのは避けたほうが良い
  • 使う絞り値を意識する: メーカー公表のMTFは開放値で測定されていることが多い。 絞ると性能は向上するので、開放で使わないなら参考程度に
  • 周辺部をチェック: 風景写真では画面の隅まで使うため周辺性能が重要。 ポートレートでは中心部の性能が高ければ十分なことも多い
  • 数値だけで判断しない: MTFチャートはボケの美しさや色収差を反映しません。 実写レビューと組み合わせて総合的に判断するのがおすすめ

MTFチャートは万能ではありませんが、 レンズの基本性能を客観的に把握するための強力なツールです。 他のスペックや実写サンプルと合わせて活用してくださいね。

よくある質問

レビューサイトの独自測定データを参考にしましょう。 メーカーが公開していなくても、海外のレビューサイト(LensTipやOpticalLimitsなど)が 独自に測定したMTFデータを掲載していることが多いです。

特に周辺部で大きな差が出ます。 最新の非球面レンズや特殊コーティングにより、 新しいレンズは画面周辺まで均一な描写を実現しています。 中心部の性能差は比較的小さいことが多いですよ。

必ずしもそうとは言えません。 MTFは解像力とコントラストの指標であり、ボケの美しさ、色の再現性、 逆光耐性などは反映されません。 写真の良し悪しは撮り手の技術や表現意図にも大きく左右されます。

F5.6〜F8程度まで絞ると多くのレンズで最高性能に達します。 開放では収差の影響でMTFが低くても、絞ることで大幅に改善されます。 ただしF16以上に絞ると回折の影響で再び低下するので注意が必要です。